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no.71「人材育成の模索 (遠隔地勤務のスタッフ)」

 現在、私は理学療法士として、訪問看護ステーションに勤務しています。

 訪問看護ステーションは、運営を安定させる目的で、サテライトという支店をいくつか作ることがあります。私の勤務するステーションも同様の手法を用いて運営しています。経営判断にもよりますが、今後、運営を安定した軌道に乗せるため、サテライトを増やす事が予想されます。

 

 私は、リハビリ部門の中間管理職をさせていただいておりますが、今後、「組織の維持」「帰属意識の向上」と「サービスの維持・向上」が直近の課題であると感じています。

 

 私が今まで読んでいた本は、経営分析や経営手法など手段に焦点を当てたものが多かったのですが、今回視点を変え、空調メーカー・ダイキン工業の井上礼之会長の『世界で勝てるヒト・モノづくり』を読んでみました。この本で興味を持った点は、人材の選び方や育て方でした。

 

 井上会長は、入社当時、希望では違う部署である人事・事務に配属され、20年ほど続けました。その過程で、社員と向き合ったり、地域住民と向き合ったりして、相手の立場になって考えることを身につけていきました。社長になってからは、以前の部署の経験を生かし、相手の事が考えられるからこそ、良い商品を作る事ができ、世界の各地域に受け入れられる事が出来たと本の中で述べています。また、大きく成長した組織を運営していくにあたり、いくつかのポイントを述べていました。それは以下の通りです。

 

・実行は6分の理

 実行は素早く行い事業を動かした方が良い。そのためには6分の成功が望めるのであれば行動を起こし、残りは軌道修正しながら実行する心構えが必要。

 

・「遠心力」と「求心力」

 海外での事業の意思決定を迅速に行うため、海外に権限を与える「遠心力」と、その中でグループの一体感を維持する「求心力」とのバランスが大切。

 

・ブリッジパーソンを育てる

 「遠心力」と「求心力」とのバランスを維持出来る人材としてブリッジパーソンを育てる事が大切。

 

 井上会長は、ブリッジパーソンを育てるために、心の熱い人材を見つけては、難局を経験させているとのこと。グループが見守る中、難局を乗り越える経験が、更に本人の成長を促すためだそうです。この時、仮に失敗した時でも、戦略的に間違っていなければ責任は問わないとのこと。そして、その経験を経た人材は、本社と支店を繋ぐ事ができるブリッジパーソンに育つそうです。

 

 この本を読んで学んだ事は、ありきたりではありますが、人材はその職場でしっかり育てる事で帰属意識と自律性が養われ、最終的には企業の発展に寄与するというのものでした。人材育成に時間をかける事の大切さは頭で理解していますが、実行する事はなかなか難しいものと感じてしまいます。しかし、人材育成の考え方は間違っていない事もわかりました。まずは行動しなければ結果も出ないので、今後も、この本を参考に人材育成に力を注ぎ続けたいと思いました。

 

2019年7月15日

M.Y

参考文献

・井上礼之『世界で勝てるヒト、モノづくり』日経BP社,2013年,

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