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no.77「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

新年あけましておめでとうございます.

 

令和初のお正月を迎え,近所の神社からは雲一つない,きれいな初日の出が拝めました.今年は56年ぶりに,東京オリンピック・パラリンピックが開催されます.それに伴い,スポーツの日(旧 体育の日)や山の日が移動し,3連休以上が2020年は8回もあるようです.長期連休にならないように勤務調整をどうしようかなと思う今日この頃.

 

さて,当研究会に参加して初めてコラムを書くということで,多々多々緊張していますが,今回「Think CIVILITY『礼儀正しさ』こそ最強の生存戦略である」という本を紹介したいと思います.

 

本書の中では,職場で誰かに無礼な態度をとられていると感じた人は,

 ・48%の人が,仕事にかける労力を意図的に減らす

 ・47%の人が,仕事にかける時間を意図的に減らす

 ・38%の人が,仕事の質を意図的に下げる

また,無礼な人がもたらすデメリットとして,①同僚の健康を害する、②会社に損害をもたらす、③まわりの思考能力を下げる、④まわりを攻撃的にする 等々,職場に無礼な人がいることで巨大なストレスを感じてしまうようです.

 

しかし,リーダーへのアンケート調査では,回答者の40%近くが,仕事の場で下の人間に優しく接したら,それに突っ込まれるのではないかと恐れており,少し無礼な方がビジネスの世界では出世できると考えているとのことでした.「人を従わせようと望む者は,命令の仕方を知る必要がある」,「(社員に)愛されるよりも恐れられる方がはるかに安全だ」といったリーダーの考え方は,現代には当てはまらないようです.

 

では,礼節がもたらすメリットとは何でしょうか.個人としては,①出世が早い,②仕事で優れた業績をあげる可能性が高い.組織においては,①礼節ある上司のチームは高い業績をあげる,②礼節ある経営者は従業員に安心感を与える と書かれています.

 

本書は,医療現場での無礼な態度,礼節ある態度についての成功/失敗事例がしばしば挙げられています.その中に,「10/5ウェイ」という病院公式ガイドラインを策定・運用することで,院内に礼儀正しい態度が広まり,また患者満足度が向上したという事例が紹介されています.このガイドラインでは,誰かと10フィート(約3m)以内に近づいたら目を合わせ微笑みかけること,5フィート(約1.5m)以内に近づいたら「こんにちは」と声をかけることを定めたものでした.当院を振り返ってみると,挨拶はするけれども顔を合わせない.ましてや微笑みかけるなんてほぼないような気がします.みなさまの施設においても,誰にあいさつしているのか,これでは伝わらないなと感じることもあるのではないでしょうか.

 

その他にも,リーダーが部下へ送るメール作法や,はたまた辞めていく社員を気遣おうといった内容まで幅広く紹介されており,リーダーや中間管理職にとって身につけておくべき知識がたくさん盛り込まれています.機会がありましたら,一度手に取ってみてください.

 

“一年の計は元旦にあり” 令和初のお正月を迎え,礼節ある態度が部署内・院内へ波及していくような取り組みを行っていきたいと決意しました.

 

改めて、本年もよろしくお願いいたします.

 

2020年 1月12日

  H.O

 

[参考図書]

クリスティーン・ポラス,夏目大[訳]:Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である.東洋経済 2019年

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