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no.61「隣の芝はなぜ青い?」

 人は、どうしても他者の環境をうらやましく思ってしまいます。「隣の芝は青い」とは、よく言ったものです。

 

 今年度も、もうすぐ半年が経とうとしています。新しい職場、新しい部署に配属になった方は、だいぶ仕事にも慣れてきたことでしょう。一方で、何年も同じ職場で働いていると、他の職場が気になるのではないでしょうか?設備が整っている、研究が盛んである、休日が多い、給料が多いなど、ついつい他の職場をうらやましく思うことも多いかもしれません。

 

 「隣の芝は青い」

 インターネットで意味を検索すると、何でも他人のものはよく見えるものである(「コトバンク」より)、自分のものより他人のもののほうが良く見えるということ(「実用日本語表現辞典」より)とされています。

 

 2012年のロンドンオリンピックにおいて、デイリー・メール紙は一部のメダリストの間にある共通点を発見しました。ある選手は表彰台の上でメダルを胸に沈鬱な表情を浮かべ、ある選手はまるでメダルが気に食わないかのように顔を歪めていました。他にも、がっかりしている選手、ひどく悲しげな選手、涙を懸命にこらえる選手もいました。さて、彼らに共通していることは何だったのでしょうか。それは、みな銀メダリストであったのです。

 

 1954年、心理学者のレオン・フェスティンガー氏は「人には自分の立ち位置を知ろうとする基本的傾向がある」という説を提唱しました。これは、他者と切り離して自己を評価するのは難しく、たいていの人は他者と比べることで自己を知りたがる、というものです。指標となるのは簡単に測れるもので、たとえば、車の値段、オフィスの広さ、予算の規模、芝生の緑、さらにはメダルの色などです。

 

 自分より優れている者との比較は、「上方社会的比較」と呼ばれます。ときどき上を見るのは発奮材料となりますし、私はより上を目指す姿勢は好きです。しかし、そればかり気にしていると気分が滅入ってしまいます。前述のメダリストたちは、銀メダル獲得という成し遂げた成果よりも、金メダルが獲得できなかったという成し遂げられなかった成果にフォーカスしているのだと思われます。

 

 他人の所有物をうらやみ、自分の持つ資源に気づかない状態となると、隣の芝生はつねに青く見えます。しかし本当は、自分の芝生も同じくらい青々としていることが多いのです。

自分の芝生を、少し遠くから見てみましょう。少し角度を変えて見てみましょう。きっとそこには青い芝生が広がっていることに気が付くでしょう。

  

2018年9月3日

N.T

 

[参考・引用図書]

スコット・ソネンシェイン著,三木俊哉訳:ストレッチ.海と月社.2018

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