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no.119「自分を理解し、相手も理解するために必要な行動経済学」

 ある日の上司と部下と指導に関する話の一部です。

 上司は、「部下に指導をしているが、変化がみられない。何度か言ったことなのに改善がみられない」と言っていました。部下は、「指導されていることに答えられていない」と感じ、また「上司の求めている将来像が見えず、上司へ上手く状況説明が伝えることができない」ことに不安を持ってしまいました。上司は、「〇●できていない」の指摘発言が多い状況でありました。上司は、「〇●できてない」から「〇●もできるようになった」などできることを見つけ指導していく必要もあると自覚しています。しかし、仕事の内容や状況によっても指導は変わるとも思います。このような似た経験をしたことはありますか?

 

 最近の育成方法では、褒めて伸ばす、成功体験を積ませる指導の方法が多く紹介されているかと思います。しかし、指導者は褒めて伸ばすことだけで上手くいくのでしょうか?状況によっては、褒めることが適さない場合もあります。行動経済学では、人は異なる認知があり、状況や感情によっても変わると言われています。そのため、自分を理解し相手の理解が深まれば、自分や他人がどのように意思決定し行動につなげるかがわかります。

 

 自己理解と他者理解をより理解するために欠かせない行動経済学の理論が3つについて紹介したいと思います。

1つ目は、「制御焦点理論」です。制御焦点理論は、人が目標達成する時の動機には「促進焦点」と「予防焦点」があり、「促進焦点」はポジティブで前向きな結果の追求や目標達成からくる動機、「予防焦点」はリスクを回避し安心や安全を求め現状よりも悪くなりたくないと維持することに動機がある理論です。

2つ目は、「最大化」か「満足化」かであり、意思決定するためにおおまかに二分化します。

「最大化」はより良い選択をしようとして情報を集めじっくり検討するそのため考えすぎて決められない、早急な対応をすることが苦手になる傾向です。「満足化」は反対にある程度のニーズが満たされる選択があれば情報収集をやめて直感を頼りながら適当に決める。1つの決め事に時間をかけず意思決定をする傾向です。

3つ目は、「楽観」か「後悔回避」かです。「楽観」は物事がスムーズにいくと考える傾向であり、チャンスに対して多くのリスクを取ることがあるが、上手くいくと信じる傾向のため挫折からの回復も早いそうです。「後悔回避」は成功の可能性より後悔の回避を優先する傾向で、過度に慎重で保守的な決断をしてチャンスを逃す傾向があります。

 

 このように行動経済学の理論を活用して、まずは人の認知は違うもの、そして自己理解を深め、他者を理解することで、お互いの置かれた状況と感情をより深く理解しあえると思います。本書は、行動経済学のいろんな理論を認知・状況・感情から整理し体系化されているため、日常に当てはめて考えやすいと思います。

 

202310月2日 H.M

 

参考図書:相良 奈美香著 行動経済学が最強の学問である SBクリエイティブ株式会社

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