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no.24「行為を振り返るリフレクション」

技術革新やグローバル化などにより、時代の流れが加速しているように感じる。10年・20年後には多くの職業が消滅するとまで言われる時代に、何をよりどころにしたらよいのかと迷ってしまうことが多い。社会全体がこのような状況であり、当然私たちが働く医療業界でもそうであるし、私が働く教育業界でも同様である。知識や技術なども「これを押さえていれば大丈夫」というものはなく、常に世の中の変化や流れを読みながら対処していく能力が問われている。

教育分野の中で、リフレクション(reflection)という言葉をよく聞く。近年看護教育等でよく用いられるが、看護にかかわらず重要な概念である。リフレクションとは、反省や省察(せいさつ)と訳されることが多いが、行為を振り返ることと言える。リフレクトとは「過ぎ去ったことに光を当てるように振り返り、心に描かれたことを呼び戻し、表出する」との意味がある。つまりリフレクションとは単なる反省や振り返りではなく、意図的に振り返り言語化等により明確化し、埋め込まれた知識を引き出し、その知識を次の行為の中で使うことである。リフレクションは、①「行為の中のリフレクション(reflection in action)」・②「行為に基づくリフレクション(reflection on action)」に分けられる。①は今までに経験のない問題に出会った場合、行為を行っているときに、何かがおかしいと認識し過去の経験知識を生かして対応するである。例えば患者の診療において、このような介入をしようと考えていても自分の予想した通りの反応を患者が示さなかったり、思った通り効果が表れなかったりすることは多くある。この時に適切なセラピストであれば「あれ?うまくいかないなあ」と気づき、その原因を探りながら他の方法を考えるであろう。これが「行為の中のリフレクション」である。「行為の中のリフレクション」自体は、意味の大きいものであるが、変化の激しい臨床や管理業務の中では場当たり的な対応になり全体像を見失いがちになる。そのために②の「行為に基づくリフレクション」を行う必要性がある。「行為に基づくリフレクション」は、行為の後に振り返り言語化することである。上手くいったこと、上手くいかなかったこと、感じたことを言語化し、今後どのように対応するべきかを検討することである。これは自分自身で振り返ることも可能であるが、同僚等に話すことにより言語化することが効果的である。さらにその結果を文書化することにより、次に同じような状況になった時に対応することが可能となる。

時代の変化の中で、このように対応すればよいということを一つひとつ学んでいくことは困難であり、新たな局面で対応できるような能力を求められている現代においてリフレクションを学ぶことは意義のあることと感じる。

                              2015.8.3 Y・J 

参考文献

ドナルド・Aショーン著 柳沢昌一・三輪建二監訳.省察的実践とは何か:プロフェッショナルの行為と思考、鳳書房、2007年


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