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no.22「職員採用、人事考課におけるシグナリング」

年に2回やってくる人事考課。毎度悩み最終考課の判定をするが、今年も4月に10時間以上かけて考課を行い、考課者所見を終えてほっと胸をなでおろした。平成25年までは紙面に直筆で職員各々の目標、自己所見を書いてもらい、考課者所見も直筆であったが、昨年度からは電子化し、PC上で確認しながら考課を進める事となった。それでも職員数の増加に伴い、時間の短縮には繋がっていない。

 カルテも電子化され、職員の直筆はあまり目にしなくなった昨今、職員のメモを見てもだれが書いたか分からなくなって久しい。(以前は文字を見れば分かったものだが・・・)

そんな事を感じていたある日、とあるラジオ番組で、ホリエモンこと堀江隆文氏がtwitterで「履歴書が手書きの奴は採用候補に入れたくない」とツイートされたことが話題となっていた。早稲田大学ビジネススクール准教授入山 章栄(いりやま・あきえ)先生によると手書きではその内容のみならず、手書きをしたという努力を評価しているそうだ。この努力を評価するという視点はシグナリング理論に基づいているとの事だった。

 シグナリング理論は私的情報を保有している者が、情報を持たない側に情報を開示するような行動をとるというミクロ経済学における概念である。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0

 シグナリング理論で頻繁に取り上げられるのは、職員の採用に際しての学歴に関する考え方である。人間の本当の能力は他人にはなかなか分からないものなので、企業は学歴を能力のシグナルとして採用や処遇を決めるということである。遡れば、高学歴を得られる学校へ入学するために努力する事ができた人であるとの解釈をしているのだ。手書き・学歴・部活動の成績・ゼミでの成果・・・様々なシグナルの中で組織として重要視するシグナルがどの部分なのか、これからリハビリテーション関連職種が充足し採用の可否を厳しく判断する際には重要な視点であると考える。

 話は人事考課に戻るが、私の所属する組織においては半年間の成果を振り返り自己所見を記載している。被評価者は努力の結果をシグナルとして言語化することで評価者に伝えるわけだが、評価者はより正確な情報を得るために日々の努力の様子を直接的に観察し、本人が発するシグナルとの整合性を図る事が必要だろう。よりよい人事考課のために、ぜひ意識しておきたいところである。

 最後に、職員採用も人事考課も過去に対する評価ではあるが、今後の成長につなげるための評価、今後の成長を期待してのフィードバックをする事は言うまでもない事を付け加えておきたいと思う。


2015年6月1日 HM

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