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no.97「職場研修体制の見直しについて」

日本理学療法士協会は2022年度より新生涯学習制度を開始する。新生涯学習制度では前期研修と後期研修を修了した者が登録理学療法士となり、5年毎の更新制になる。この、前期研修の中には従来の生涯学習システムにはない実地研修が含まれており、対応の準備をしている職場もあるだろう。

実地研修は登録理学療法士がいる職場では自施設での実施が可能で、対面でOJTOn the Job Training:職務を通じた研修)を32コマ(48時間分)実施することが要件となる。OJTは日本理学療法士協会の新人理学療法士職員研修ガイドラインに沿ったプログラムの実施または各職場におけるマニュアルを活用した研修が想定されているが元々マニュアルがある職場でもそれらを整理して48時間分のプログラムを準備するのは容易なことではないだろう。

私の所属施設においても従来のマニュアルの見直しを図り新生涯学習制度に準拠したマニュアルの完成を目指しているが、同時に、作業療法士・言語聴覚士に対する教育プログラムも見直す良い機会であると捉えている。

そんな時、職員から借りていた「改訂 福祉の「職場研修」マニュアル1)」をふと手に取った。医療機関向けではないがシンプルに分かりやすく職場研修の考え方、研修体制・計画・OJTOFF-JTSDSの実践について記載されており参考になる。(貸してくれたA君ありがとう)特に、OJTを重視して職場全体でのコンセプト共有の大切さを述べている点や、「日常の機会指導」を意識的に実践することの場面を挙げ、指導者がOJTをどのタイミングで実施すべきかを認識することができる内容になっているのが良い。医療専門職向けの書籍は高いイメージがあるが、何よりもこの本は1,300円と安い!自施設の事情に応じて修正は必要だが、研修プログラム設計のベースとして活用することをお薦めする。

 

話は変わるが、先日ある団体から「災害時にベッドに寝ている人を車いすに移乗して避難させる実験をしたいので、参加者へ移乗動作の指導をしてほしい」との依頼を受けて訪問した。移乗介助経験のない一般の方は人の動きに関係なく持ち上げたり、重心位置を無視した座位保持の誘導をすることがあり、我々リハ専門職が当たり前に行っている対象者の動作に合わせた介助が人の能力維持に貢献できることをあらためて感じた。これは介護保険制度の中で自立支援に資する他職種への指導を期待されていることにも共通する。他職種への指導を職場全体の研修制度に反映できるよう、リハ専門職が職場全体の制度設計に関わることが大切だな・・・と思いながらあらためて「改訂 福祉の「職場研修」マニュアル」を見返した。

制度やマニュアルの見直しは大きな課題に直面しないと腰が重く進まないものだが、緊急でなく重要な問題としてコロナに負けずに計画的に進めたいものだ。

 

2021年9月1日

H.M

 

<引用・参考文献>

1)全国社会福祉協議会:改訂 福祉の「職場研修」マニュアル~福祉人材育成のための実践手引き~,株式会社加藤文明社,2016

 

日本理学療法士協会新生涯学習制度はこちら

https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/

日本作業療法士協会生涯教育はこちら

https://www.jaot.or.jp/continuing_education/

日本言語聴覚士協会生涯学習プログラムはこちら 

https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

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