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no.102「多様性」

 新年度が始まりました。

みなさんの職場でも、部署が異動となったり、新たな職員が入職したりと、大きく変わるのもこの時期ではないでしょうか。

 特に経験者の中途採用や他部署への異動では、今までの経験を活かして欲しいと、歓迎される場合が多いと思います。その一方で、言わなくてもわかるだろうと十分な対話ができない、提案しても「今までは…」と聞いてもらえない、など、やきもきした経験はないでしょうか。

 私たちは普段、物事を考えるとき、自分なりの理論に無意識に則って考え行動しています。無意識であるがゆえに、自分自身ではそれに気づくことができません。リーダーが支配的な組織では、異なる意見、否定的な意見は却下され、意見する立場にないとされることもあるでしょう。

 

しかし、自分と異なる考えや意見は、自分自身の盲点に気づかせてくれます。

多様な意見を持つ人が集まれば、違った角度から視野が広がり、集合知の幅も深みも増すことができるでしょう。

マシュー・サイド著「多様性の科学」では、多様性のあるグループと画一的なグループを比較した実験を紹介していました。そこでは、ある課題に対する正解率を比べており、結果は多様性のあるグループの正解率が上回っていました。

ここで興味深かったのは、多様性のあるグループでは反対意見も多く出たためか議論は大変であり、正解を知るまでは自分たちの答えに自信を持てなかった。一方で、画一的なグループでは、互いに同意しあうことが多く気持ちよく話し合い、答えについても自信を持っていたようです。

 

「類は友を呼ぶ」といったことわざもあるように、物事の見方や考え方が似ている人は自然と集まりやすく、一緒にいると心強くなります。しかし、医療や介護のような正解のない複雑な問題では、考え方の異なる集団がもたらす力、多様性の力が大切だと考えます。

 新年度となり、配属の変更や新入職員を迎えるにあたり、あらためて多様な意見を安心して「共有」できる組織づくりを目指したいと思いました。

 

2022年4月2日

N.T

 

<参考・引用文献>

 

・マシュー・サイド:「多様性の科学」ディスカヴァ―・トゥエンティワン、2021

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