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コメディカル組織運営研究会

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no.93「公としての組織のありたい姿」

 偶然本研究会に出会い丸6年。本研究会で初めて出会った書籍 “学習する組織-システム思考で未来を創造する-” は、私が職場の組織を捉える際の基盤になっています。漠然と興味を持った組織運営という領域ですが、本研究会に出会ったことで様々な物の見方が変わったように感じます。

 

 学習する組織とは、学習コミュニティづくりを通じて組織・社会の課題解決に取り組むことであり、自ら最高の志を実現する能力を継続的に高めることができる組織を築きあげるための5つの要素(ディシプリン)が提示されています。5つのディシプリンとは、システム思考、自己マスタリー、メンタル・モデル、共有ビジョン、チーム学習を指します。 “システム思考” を学ぶことは、ある問題がなぜそのようなプロセスを経て起こっているのか、また表出してきた問題はどこが本質なのかを考える際の手がかりになり、”メンタル・モデル” は、自身がどのように世界を捉えているのか、またバイアスがかかっていないのかを常に意識して物事を見ないといけないことを教えてくれました。そして、”共有ビジョン” とは、創りだそうとする未来の共通像を掲げる力であり、個人のビジョンを共通ビジョン(ありたい姿)につなげる重要性を学びました。

 

 今年度も1ヶ月が過ぎ、リハ部門として今年度の目標に向かって取り組んでいることと思います。 医療がインフラストラクチャーである以上、「形の上では、経営者が人を雇い、上司が部下を使っているようであっても、実際は、企業としての公の使命を達成していくために、それぞれに必要な仕事を分担しているということになる」(松下幸之助)という ”公” としての役割を持った共有ビジョンを構築していく必要があると思います。

 

 これらディシプリンの欠如 -つまり、私たちがこれまで教えてこられた考え方や相互作用のあり様- が、組織がかかえる “学習障害” を生み出します。例えば、学習障害のひとつである「私の仕事は○○だから」は、自分の職務だけに焦点をあてていると、全ての職務が相互に作用したときに生み出される結果に対して、責任感をほとんど持たないことを表しており、まさにチーム医療の妨げになります。また、リハ部門が施設側から求められる収益としての “単位” というものに縛られていることも、自部署だけでなく、本研究会を通して出会った各施設の中間管理職の方々からも多く聞かれました(これは「出来事への執着」でしょうか)。

 

 松下幸之助は、「失敗するほうには『私』というものがあり、一方、成功する人には『私』というものがありません」という言葉を残しています。これは、自分を脇において「全体のため」を考えるとやるべきことが見えてくるということを示しているようです。

 

 昨年から続く新型コロナウイルス感染症は、地域からリハ部門に求められることにも変化を与えました(例えば、密にならずにリハビリテーションを提供)。今後も変化に柔軟に対応しながら、公としての組織のありたい姿を求めていくことが、部門運営に携わっていく者として大切なのだと再認識しました。

 

2021 年5 月12 日

O.H

 

<参考・引用文献>

ピーターM センゲ:「学習する組織 システム思考で未来を創造する」、英治出版 2011

桑原晃弥:松下幸之助「困難を乗り越えるリーダー」になれる 7 つのすごい!習慣、笠倉出版社 2020

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