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no.37「パワーハラスメントについて」

 先日、管理者向けに「パワーハラスメント(以下パワハラ)」と「若年層のコミュニケーション」について研修があった。

 

 パワハラの定義は、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」をいう。パワハラの言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いが、先輩後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもある。

 

 パワハラは社会環境の変化と大きく関わっており、高度成長期までの終身雇用制を軸とした労働環境では、ある程度の過酷な状況でも「我慢して頑張る(自分の成長のため)」という考え方が根底にあった。しかし、終身雇用制の崩壊や雇用形態の多様化は、所属組織への忠誠心低下に繋がり、更に価値観の多様化により所属組織よりも自らの存在を優先する考え方へと繋がっていく。例えば、「飲みニュケーション」という職場の上司と部下や同僚同士が酒の席で会話を通し相互理解を図り、それが業務の円滑化に繋がる場であったが、今日では古臭い考え方として敬遠されがちである。また、ゆとり世代、団塊Jr世代と呼ばれている人たちは、10代の頃よりコミュニケーション・ツールとして携帯メールを多用しているため、生身の人間と顔を突き合わせて関係を作るのが苦手だと言われている。そのため、世代の異なる上司から軽い叱責で精神的に大きなダメージを受けることも少なくない。 つまり、ハラスメント問題が発生する閾値が従来に比べて低くなっていると思われる。

 

 今まで相談できる専門的な機関や窓口を設けている施設も少なく、被害者は泣き寝入りせざるを得ない状況だったが、「パワハラ」という言葉が出てから被害者に対する状況が改善されてきた。その裏で、「パワハラ扱いされるのを恐れて強く叱れない上司」も増えてきている。

 

 その中で世代間ギャップ対応のポイントとして、世代の違うものが育ってきた環境が違うことを認識する、それぞれの世代に強みがあることを認識する、世代を超えた共通の価値観を共有する。また、円滑なコミュニケーションのポイントとして、自らが動かないと状況は決して変化しないので、まずは自ら見本となり実践するとよいとのことであった。

 

 この研修を踏まえ、管理者として連合艦隊司令長官であった山本五十六の言葉を心に秘め、日々職員と接していきたいと思った。

 

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

 

2016年8月1日 N・K

 

参考文献 

・ 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ報告

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