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no.76「リハビリテーション部門の労務管理を考える」

 診療報酬上でリハビリテーション(以下、リハ)は、単位という時間で点数がついており、看護師のように施設規模に合わせて何人体制にすると点数が変わる仕組みではないです。そのためリハの管理者の方は、施設の経営者、もしくは事務方から経営に影響する単位を求められて、その単位を上げるために現場と向き合い、どう単位数を増やすか悩むところです。

 

管理者として、病院の経営のために単位を増やしていく仕組みをつくることは大事ですが、経営改善に考え方を偏る、あるいは偏って伝えるのは疑問です。また、管理職がスタッフへ単純に単位数を増やすよう取り組むと、「残業が増えた」「雰囲気が悪くなった」などスタッフから声があがることもあるかと思います。管理者は、病院の経営の影響だけでなく、スタッフのモチベーションや能力、などいろいろな視点から組織システム作りを考えており、経営者や事務方と現場と上手くバランスをとりながら運営していると思います。皆さんの施設ではどうでしょうか?経営者や事務方から「単位をあげないと・・・」「残業を少なくするために・・・」など相談させることはありませんか?また、管理者は、労務管理を行う上で時間内にどのように効率的にするか考えていると思います。

 

 私は、労務時間内にスタッフが効率よく、かつモチベーションと能力を高めて、そして業績をあげること、また上手く経営者に説明していくためにはと考えていました。そこで今回、たまたま中原先生の「残業学」という本を読んでみました。その本で残業は、3層分析モデル(①要因、労働時間の長さ、働き手の意欲を視野に入れて検討する必要があり、組織においては、仕事のできる人に「集中」、職場の暗黙の解として「感染」、そして後輩へと引き継がれる「遺伝」があるそうです。この対策として、組織のシステムとしてまずは「見える化」をすること、特に、①業務、②コミュニケーション、③時間の3つを見える化、次に「対話」をすることで新たな対策に取り組む必要があるようです。また管理者には、ジャッジ力(一貫した軸を持ち状況判断や指示をする力)グリップ力(現場の状況や進捗を把握する能力)、チームUp力(オープンで風通しが良く活発にコミュニケーションをする力)が、残業を減らしてパフォーマンスを上げる希望のマネージメントとして紹介されています。

 

 管理者は、労働管理をする上で単位数や残業時間を「見える化」にして、経営者や事務方へ報告、またスタッフへ報告し、振り返り改善を取り組んでいますが、ただ「見える化」だけでとてもいい効果が期待できるとは考えにくいと思います。リハの単位、残業時間など「見える化」は、数値だけでなく、個々の業務内容や能力など、さらには会議なども含めた組織の運営システム全体で行う必要があります。また、「見える化」は、経営指標だけでなく、リハの効果などの成果も含めて全体的に捉える必要があると思います。そのため管理者は、現場のスタッフと事務部を繋げる重要なポジションにあり、そのマネージメント力がとても求められています。

 

201912月12日

H.M

 

参考文献

中原 淳、パーソナル総合研究所:残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうか?,光文社,2018 

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