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no.30「リハビリテーション専門職とセクショナリズム」

 医療機関は、セクショナリズムが強いと言われています。セクショナリズム(sectionalism)とは、組織内のある部門が党派的利害や権限に固執して排他的になることや、自分の属する部局や党派の立場に固執し、他と協調しない傾向のことを指します。もともとは、官僚制度による組織の機能不全を中心に議論されてきましたが、医療機関においても同様に重要な問題であると、最近になって強く感じます。

 

 技術の発達により、現在の医療現場は非常に細分化されています。エキスパートはよりエキスパートになることを求められるのが実際です。「隣の部門がどのような仕事をしているのかわからない」、というのもよくある事かもしれません。ただし、これは部門間に限った問題でなく、リハビリテーション部門の内部にも存在する問題です。

 

 現在の診療報酬制度では、診断名をもとに診療報酬を算定する疾患別リハビリテーション制度が採用されています。脳血管疾患、心大血管、呼吸器、運動器、がん、など診断名ごとにセクション化されているため、ある意味、その分野に特異的な知識や経験を積み重ね、ある特定の分野のエキスパートを目指すうえでは非常に有効なのかもしれません。

 

 一方で、リハビリテーション専門職には、一人の患者さんを多角的に分析できる能力を持ち合わせることが重要です。また、その能力は、あくまでたった一人の個人の能力にたよることなく、組織の能力として発揮されることが望ましいと考えます。その際には、多くは診断名でセクション化されているであろう、リハビリテーション部門内の各セクションの協力体制をいかに構築するかが、円滑かつ高品質な医療の提供につながるものであると思うのです。

 

 一人ひとりの記憶力には限界があります。今後は、「あの人はこんなことも知らない」ではなく、「あの人はこのことに(なら)詳しい」、という観点で他者と協働できる能力を、各専門職者が身に着ける必要性を痛感する今日この頃です。

M.Y

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