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no.81「組織が試されている?~新型コロナウィルスの流行によって思うこと~」

 新型コロナウィルスの流行によって、日常生活も仕事も全てにおいて、柔軟に対応しなければならない日々が続いています。

 

 さて、このような大変な状況を昨年の流行語“ONE TEAM”で乗り切ろう!ということを見たり、聞いたりします。一方で、こんな状況の中でも自律した行動を取れない人達のニュースもあります。私は、それを新型コロナウィルスの流行に対応していくための組織の成立に重要な「共通の目的」が共有されていないためと感じました。

 

  感染対策については、日本、都道府県、地域、職場、学校、家族…などなど様々なレベルの組織がありますが、いずれの組織においても、組織が成立するためには「共通の目的」が組織を構成するメンバー全員が共有していなくてはなりません。今で言えば「これ以上感染を拡大しない・させない」、「事態を収束させて当たり前の日常を取り戻す」といったところでしょうか。そして、どの組織においても「共通の目的」がメンバー全員で共有されているかを試されているように思う今日この頃です。

 

 そこで、今回は職場において、「共通の目的」をメンバー全員で共有していなくては成立しないものの一つである会議について考えてみたいと思います。

 

 スタッフコラム№26「実り多い会議にするために」でも取り上げているように、会議をどうしたらうまく進められるか、不毛な会議にならないかは悩ましいところで、会議をうまく進めるために様々な本が出版されています。私自身、司会者になる会議もあり、やはりどうしたらいいか悩んでいたこともあって、ちょうどクルーズ船での感染拡大が問題になっている頃に、“不毛な会議撲滅作戦!”と勝手にテーマをもって『入社2年目の女子がグダグダ会議を変える!世界で一番やさしい会議の教科書』(榊巻亮著、日経BP,2015)を読みました。

 

 いろいろ目の覚めることが書いてあったのですが、私が得た学びの上位3つのポイントは①ホワイトボードを使う、②各議題を審議事項、協議事項に分け、要する時間を決める、③予告する、でした。

 

 まず、①ホワイトボードを使うについて説明します。小学生の頃って、何かをクラスで話し合うとき、黒板使って議題や意見を視覚化して、みんながそれを見ながら話し合いませんでしたか?でも、大人になって?職場では会議次第の書かれたレジメを全員が持っていて、それを見ながら話し合いますよね。そこが会議に参加しているメンバー間の温度差につながって、不毛な会議に突入させていくと気付きました。

 

 例えば、議題「〇〇について」が書かれていても、何を決定するのか(審議事項)、方向性を決めるのか(協議事項)を議長が説明したとしても、会議が始まれば、みんなレジメを見てメモを取り(取らない人もいるけど)、下を見てしまいます。メモの取りようも様々。これでは、何かを決定するにしても、これまでわかっていることや出た意見など、決定までのプロセスを共有できません。

 

 そこで、ホワイトボードを使って、全員が同じ方向を見て、何を決定するのか、それには何が必要か、どんな意見があるかを視覚化することで、メンバーの共通理解を得ることができます。メンバー個々の解釈の違いも防ぐことができます。ホワイトボードを使ってできるくらいの規模の会議ならば、是非、活用してみてはどうでしょうか。アナログな方法ですし、書く人の技量も必要ですが、改めて良い方法だなぁと思いました。できないくらい大きな規模なら、前段階の会議を持ち、視覚化したものをレジメにして配るなどの工夫もできるかと思います。ただ、ホワイトボードが使えないような大きい会議では、承認事項と報告事項のような議題しか扱えないとも思いますが…。

 

 次に、②各議題を審議事項、協議事項に分け、要する時間を決める、について説明します。議題の多くは「〇〇について」と書かれてあり、審議事項なのか、協議事項なのかわかりません。また、審議事項と協議事項が分けてあっても、「〇〇について」では、その議題があがった理由やその議題のゴールはわかりません。したがって、話し合う前に議題提出者が説明し、メンバーで共有してから話し合いを始めるほうがスムーズに進みます。これを「わかっているだろう」で進めるとメンバーの理解が違って、不毛な話し合いに陥りやすくなります。

 

 また、議題の種別がわかっていると、話し合いにも集中できますし、さらに、一つの議題に要する時間が決まっていることで、司会者もメンバーも時間内に結論あるいは方向性を出そうと協力的にもなれます。(…誰だって会議は早く終わりたいですよね!?)

 

 そして、③予告する、ですが、会議の前に議題を知らされているのと知らないまま出るのでは大違いだと改めて思いました。私の職場では会議の議題は共有フォルダに入っているので、誰でもいつでも見ることができるのですが、それだけでは不十分だなとも思いました。先ほど書いたように議題が「〇〇について」だからです。しかし、知らないのと知っているのでは大違いですし、特に、意見を求める場合は、「〇〇について話し合いたいので、案を考えてきてください」と事前にメンバーに周知すれば、メンバーも準備して会議に臨むことができます。

 

 このように、予告することで、心構えや準備したメンバーは、会議に対して協力的な態度を取ることになり、それだけでも会議をスムーズに進めることができると言えます。

 

 これらの実践は、それぞれの組織の特徴、会議の大きさ、構成メンバー、などによってアレンジすれば良いものです。そして、組織において何か解決しなければならない課題や問題が生じたとき、「共通の目的」は何か、それはメンバーが共有しているのかという点に常に立ち返ることが重要であることに、“不毛な会議撲滅作戦!”での学びを通して感じました。

 

 また、現在の新型コロナウィルスの流行による様々な問題に対応しながら、「共通の目的」を共有することの重要性を改めて認識しました。そういう意味で言えば、「共通の目的」として、感染拡大を防ぐの一方で、どうなったら終息宣言とするかというゴールを示し、そこに向かってみんなが自律した行動をとることも、今、必要なのかも知れません。

 

 ともあれ、一日も早く事態が収束し、当たり前の日常が戻ってくることを願って、様々な組織の一員として自律した行動を取りたいと思います。

 

2020年5月1日

Y.I

 

 参考・引用文献

榊巻亮:「入社2年目の女子がグダグダ会議を変える!世界で一番やさしい会議の教科書」.日経BP.2015

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