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no.108「組織市民行動」

当研究会で勉強していると、新しい言葉に出会います。皆さんは、「組織市民行動」という言葉をご存じですか?

 組織市民行動とは、米・インディアナ大学のデニス・オーガン教授が提唱した言葉で、「従業員が行う任意の行動のうち、彼らにとって正式な職務の必要条件ではない行動で、それによって組織の効果的機能を促進する行動」1)で、「自由裁量的で、公式的な報酬体系では直接的ないし明示的には認識されないものがあるが、それが集積することで組織の効率的および有効的機能を促進する個人的行動」2と定義されています。つまり、正式な仕事ではありませんが、個人や組織のために行う自発的な行動のことを言います。

 

 家庭にも“名もなき家事”という言葉がありますが、職場には些細な仕事がたくさんあります。床に落ちたゴミを拾う、壁や床に剝がれかかっているチラシやテープを付け直す、なくなったティッシュやトイレットペーパーを補充する、医療機器や電子カルテパソコンの電源を着ける/消す、電気を消す、エアコンの電源を消す…様々あります。

このような仕事は、申し送りや指導をしなければならないのでしょうか?

自分を振り返ってみると、新人の頃は余裕がなく、自分に振られた仕事をこなすのに精いっぱいで、職場環境を気にかけたことはあまりなかったように思います。先輩に直接、「新人の仕事だよ。」と言われて初めて行動していたことも多々あった気がします。でも最近は、“新人の仕事“にしないで、誰がやってもいいのでないかとよく考えます。と同時に、どうしたら自分の職場を良くするために、自発的に動けるようになるのだろうと考えます。誰かがやってくれるのではなく、自分がやる。そういう人を増やすために何をしたらいいでしょうか?

 

組織市民行動について論文3-5)を読むと、5つの因子に分かれるようです。

    対人的援助:仕事を多く抱えている人のサポートをする

    誠実さ:不必要に仕事の手を休めない等、真面目で誠実な仕事ぶり

    職務上の配慮:仕事を行う際に、同僚に不快な思いをさせないように行動する

    組織支援行動:参加が義務付けられていなくても、職場のイベントに参加する

    清潔さ:整理整頓し、職場をきれいにする

 

自分に厳しく、他人に配慮し、職場を良くする…。全部は難しいかもしれませんが、5つの因子をそれぞれみると、何かしらできている人が多いかもしれないと思ってきました。つい、やっていないことに目を向けてしまいがちですが、行動してくれている人を見て、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えていきたいと思いました。

医療福祉の現場は、患者さんや利用者さんがいる一種のサービス業です。従業員だけでなく、お客様のためにも、率先して動いてほしいと思う今日この頃です。

 

2022年10月20日

C.K

 

 

<引用・参考文献>

1)     Organ DW. The good solier syndrome. Organizational citizenship behavior. Lexington: Lexington Books, 1988:1-14

2)     Organ DW et al. Organizational citizenship behavior. Its Nature, Antecedents, and Consequences. London and New Delhi: Sage Publications, 2006

3)     堀田裕司,他.職場における対人的援助向上プログラムの効果評価.産衛誌,2015;57(5):219-229

4)     田中堅一郎. 日本版組織市民行動尺度の研究. 産業・組織心理学研究 2002;15:77-88.

 

5)     田中堅一郎. 日本版組織市民行動尺度の妥当性と信頼性,および項目特性についての検証. 産業・組織心理学研究2004;18:15-22

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