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no.14「“新しい能力”は理学療法を変えるか」

 

近年、学生・社会人に求める能力として、学士力・社会人基礎力・コンピテンシー・ジェネリックスキル等々、多くの言葉を聞く。「新しい能力は教育を変えるか:松下佳代編著」では従来求められてきたような学力と比較して、これらの能力を“新しい能力”としてまとめている。この“新しい能力”は、各々多少の差異はあるものの、能力概念として、①基本的な認知能力(読み書き計算・基本的な知識・スキルなど)、②高次の認知能力(問題解決・創造性・意思決定・学習の仕方など)、③対人関係能力(コミュニケーション・チームワーク・リーダーシップなど)、④人格特性・態度(自尊心・責任感・忍耐力など)が含まれている。社会のグローバル化などの要因により、即戦力・適応力が求められている結果であるといえる。“新しい能力”は、人間の深い内面の部分(柔らかい部分)まで評価されることや、教育が個人のためより企業社会のために行われることを重視しているといった批判があるものの、概ね支持されている状況ではある。

 

理学療法教育に関しても、より実践的な能力が求められている。授業の方法は従来型の講義による知識伝達型授業から、グループワーク・ディスカッション・問題点解決型(PBLProblem Based Learning)・ディベートなど学生が主体的に学び、協調性・コミュニケーション能力が必要とされる授業形式が多く取り入れられている。つまり理学療法教育においても、この“新しい能力”が重視されている。理学療法を含めた医療技術の変化や社会環境の変化に対応するためには、単に知識を伝達すること教育ではなく、自ら進んで学び・問題解決をして・他者と協調して働くことが出来る能力が重要視されていると言える。理学療法学という学問的な側面を担保しつつ、より必要とされる理学療法士教育を実施していきたい。

 

 

 

参考文献:

<新しい能力>は教育を変えるか 松下佳代編著  ミネルヴァ書房 2010

 

 

 

2014.9.26 J.Y