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no.33「アクティブラーニングを活用した職員教育」

 4月より、多くの新入職者を迎え入れる施設も多いと思います。近年はリハビリテーション部門でも新入職者への教育プログラムを作成している施設がかなり増えており、みなさんの中でも講義などの準備に追われている方も多いのではないでしょうか。Off‐JTにて講義を行うとき、伝えたはずの知識が相手に上手く伝わっていないことを経験することがあると思います。一般的に講義による知識の伝達では伝えた内容の5%しか学習者には記憶として残らないといわれており、一方的な講義による教育方法のみではなかなか相手に伝えることは難しいのかもしれません。

 

 ここ数年、大学教育の中で「アクティブラーンング」が重要視されています。アクティブラーンングとは、「教員による一方的な講義形式の教育とは異なり学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」とされています。グループディスカッション、ディベート、グループワーク等による授業が含まれます。大学教育において以前のような数百人入る大教室での一方的な授業は限界があり、現在は様々な形式を用いた授業が展開されています。大学生への教育と職員教育では異なる点もありますが、このアクティブラーニングを活用することは可能です。

 

 教育目標分類において知識や知的能力に関する技能を「認知領域」と分類されますが、医学教育においてはこの認知領域を、「想起:知識を知っている」・「解釈:知識の意味づけを理解している」・「問題解決:知識を実際に応用できる」の3つのレベルに分けることができます。これらは階層的になっていますが、それぞれのレベルに適した教育方法があります。知識を網羅的に伝える場合は講義形式が優れていますが、それだけでは「想起レベル」に留まる可能性があります。その知識をより深い理解である「解釈レベル」につなげる必要があれば、グループディスカッションをしてもよいと思いますし、もう一歩進んで実際の場面で活用させる「問題解決レベル」を求めるのであれば、ケースメソッドや問題基盤型学習(PBL)等を行ってもいいでしょう。要は求めるレベルによってそれに応じた教育方法があり、より効果的な方法を選択することが大切であるということです。講義によって知識を伝えた後に、参加者がグループディスカッションを行うといったように、異なった方法を混ぜて行うことも可能です。より効果的な教育を行うために、職員教育にアクティブラーニングを取り入れてみてもよいのではないでしょうか。

J.Y

 

参考文献: 中井俊樹.シリーズ大学の教授法3 アクティブラーニング.玉川大学出版部.2015年

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