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no.56 「新人教育における成人教育」

  新年度になり、新人を迎えた職場も多いと思います。教育をすることを学んでいない私たちにとって、なかなか他の人にうまく指導する事は難しいものだと考えます。そこで今回は新人に教える事への参考として、「成人教育」について伝えてみようと思います。

 

 成人教育(andragogy)とは1920年代より生涯学習から発展してきたものである。対比するものとして、教師主導型教育である子供の教育(pedagogy)がある。それは教える側主導で進められる知識詰め込み学習である。正しい知識を教えてあげれば、その人は自然と正しい方向に成長していくという考えである。しかし子供の教育は、時代の変化等による新たな問題点には対応できないことや、知識が膨大になるため覚える事が困難になる事が問題であった。そのため知識を詰め込むのはなく、新しい問題点に対して自らが解決できる能力を獲得することが必要とされ、成人教育が発展した。

 

 成人教育の特徴としては、「学習者主導」「今まで蓄積された知識の活用」「現実の課題に対して学ぶ」等があげられる。そのような教育を行っていくために重要なことは、①学習者本人がどのように成長したいのかと言った明確な目標を持ち、②学習者が何を学びたいのかと言った学習ニードを把握し、③実際の課題(例えば今担当している患者等)を通して学んでいくことが重要となる。さらに指導者としての関わり方としては、「教えてやる」という関係ではなく、共に問題を解決するといった協働学習者としての立場で関わることが必要になる。

 

 このことを踏まえ実際の臨床での教育として重要なことは、学習者のことを深く把握する事である。そのために、私自身が考えることとしては、定期的な指導者評価および学習者本人による自己評価を行い、その結果を踏まえて面談を行い今後の方針を把握することが重要と考える。そして学習者本人が「これを学びたい」「ここをもっと伸ばしたい」という自己主導型学習を促すことを意識することが、より効果的な教育につながると考える。 教える側、教えられる側が共に成長できるような教育ができればと願います。

 

2018年月4月23日

J.Y

 

[引用・参考図書]

Malcom S. Knowles(著)堀 薫夫 (訳):成人教育の現代的実践―ベダゴジーからアンドラゴジーへ 鳳書房 2002.2

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