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no.8「人を評価することとは」

管理的な立場に立つと、人を評価する機会が増えることが多いと思います。

私は養成校教員なので、学生の評価は公式なもの、非公式なもの(「あの子はいつもここが良くないよねえ」とか「彼のこの部分はいいよねえ」とか雑談的なもの等)を常日頃行うことが多いです。学生の評価は、良くも悪くもその人の人生を左右することもあり非常に慎重に行う必要性があります。

教育・管理に関わらず人を評価するということに対して、多くの人は苦手意識が有り、評価する側も、される側も身構えてしまうものではないでしょうか。私たちは評価と言う言葉を聞くと、単に「この人は優秀だ」とか「あいつはダメだ」といったその人の能力に判定を下すものと思いがちです。しかし評価を行うことで最も重要なことは、評価の対象者の成長にいかにつなげるかということです。

人は、多かれ少なかれ必ず「成長したい」という気持ちを持っているはずです。単に評価を下すだけではなく「あなたはここが優れているので自信をもって」とか「ここを頑張ればもっと良くなりますよ」というメッセージを伝え、その後の成長につながることが何よりも大切だと思います。教育学においてこのような成長を促す評価の視点は「形成的評価」とよばれます。

形成的評価も含め、評価には以下の3つの視点があります

・診断的評価:学習前にどの程度の能力があるかを調べる(入学試験等)

  ・形成的評価:学習中の評価。学習者・教育者の両方が方向修正を行う。

 ・総括的評価:学習終了時に獲得した能力を評価する(卒業試験・国家試験等)

このように3つの視点があるわけですが、私たちは学ぶこと・成長することには終わりがあるわけではないため、どのような評価を行うにしても形成的評価に行き着くと思います。

形成的評価を行うために重要なこととして

 

・良いとところと、不十分なところの両方を評価する(ある意味ICF的)

・指導者の評価だけでなく、指導される側の自己評価を行う

・評価する側・評価される側が、ともに考え、お互い納得した評価を行う

 

 以上の方法が重要です。

施設の管理者の意見や外部評価導入のために、職員評価を義務的にさせられることも多いと思いますが、せっかく行う評価の機会ですから、ぜひとも成長につながる形成的な評価が行えるようになるとよいと思います。

 『教育評価入門』(梶田叡一,協同出版)が大変参考になります。教育の専門書ですが、非常に読みやすく、評価する意味が深く理解できます。人を評価する立場にある方はぜひご一読いただければと思います。

2014.2.5 J・Y