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no.41 「リーダーとフォロワーの間にある「信頼」を考える」

 新年、あけましておめでとうございます。

 

 今年も当研究会は、メディカルスタッフ部門マネジャーの寺子屋としての役割を果たすべく、コツコツと歩んでいきたいと思いますので、みなさまのお力添えをお願いいたします。

 

 さて、今日のマネジャーにとって考えるべきもののひとつに、「信頼」あるいは「信頼の欠如」についての問題があります。信頼とは、相手が言葉や行動、あるいは決断を通して、日和見的な行動をしないであろうという前向きな期待(S.D. Boon and J.G. Holmes, 1998)を示します。人が相手との約束を信用するとき、その人は弱い立場に置かれます。信頼の性質上、相手に失望したり、利用されたりすることがあるからです。信頼とは、そのような不安感に対して、リスクを冒すことに対する意志、とも考えることができます。

 

 この「信頼」という概念の根底にある主要な要因としては、多くの研究により、誠実性、能力、一貫性、忠誠心、開放性、という5つの因子が挙げられています(スティーブンP.ロビンス著、「組織行動のマネジメント」、p282)。誠実性とは、誠意があり、信用するに足りることを指し、5つの要因のうち相手の信頼性を判断するうえでもっとも重要とされています。能力とは、技術的および対人的な知識やスキルのことで、自分が口にしたことを実行するスキルや能力がある、と相手に信じてもらえることです。やはり、人は、能力を尊重できない相手に耳を傾けたり、そのような相手を頼ったりすることはできないのでしょう。一貫性とは、頼りがい、確実さ、状況処理における判断力に関係しており、単純に考えても言葉と行動が一致していなければ信頼が低下することは容易に想像できます。忠誠心とは、相手を守り、その顔を立てる意欲のことを指します。開放性は、信頼性における最後の要因であり、事実全般を教えてくれる相手であれば、人は頼りにするであろう、ということを意味します。

 

 リーダーとフォロワーの関係において、この「信頼」は非常に重要であると考えられます。人は、誠意が感じられなかったり、自分を利用しそうな相手に対し、尊敬したり、従ったりすることはしないでしょう。そのため、フォロワーがリーダーを多少なりとも信頼していなければ、その組織がよい方向に進むとは考えられません。

 

 信頼関係を構築する方法を身につけたマネジャーがとる共通の行動も多く報告されています。まず重要なのは、開放的であることです。開放的であるということは、相手に情報を与え、決定基準について明確にするように心がけ、自分が下した根拠を説明し、問題点についても率直に語り、関連情報を開示すること、などが挙げられます。その他としては、公正である、感情を言葉に表す、真実を話す、一貫性を示す、約束を果たす、秘密を守る、そして能力を示す、などが挙げられます。

 

 一方、信頼は、経験が徐々に積み重なって構築されるものであり、時間がかかります。しかし、何か小さいきっかけでも、いとも簡単にこの信頼が崩れることを多くの人が経験していると思います。注意一秒、ケガ一生。自分の立ち位置がリーダーでもフォロワーでも、日ごろからのコミュニケーションによる信頼関係の構築とそのメンテナンスが重要だなあ、と思う今日この頃です。

 

 

2017年月1月1日 M・Y

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