コメディカル組織運営研究会
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2020年1月16日、日本国内で最初の新型コロナウィルス(COVID-19)感染症患者が確認され、4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令されてから全国への適応範囲の拡大、そして縮小を経て5月25日全面的に緊急事態宣言の解除がされました。
この間、「国民が一丸となって」という言葉を多くの報道で耳にしたことと思います。国民を一つのチームとして見た場合には新型コロナウィルス感染症を拡大させないという共通の目的がありました。しかし、緊急事態宣言が解除されたことで社会全体の緩みが懸念されるなか、医療介護の施設としては感染症対策チームの気を引き締め、改めて目的や目標を確認するタイミングだと感じています。また、組織内で自粛していた様々なチーム活動も再開し始めていると思いますので、チームについて整理してみたいと思います。
効果的なチームを構成する主な要素は、(1)チームを効果的にする資源とその他の基盤の影響、(2)チームの構成、(3)職務設計、(4)チームの自信感を左右するプロセス変数の4つに分類される1)と述べられています。その中でもプロセス変数については直近でチームを動かすうえで重要な視点になると思いますので、少し詳しく確認しましょう。
〔共通の目的〕
・効果的なチームには、メンバーに方向性、勢い、コミットメントを与える共通の有意義な目的がある
〔具体的な目標〕
・成功するチームは共通の目的を具体的かつ現実的で測定可能な業績目標に置き換える
・具体的な目標は明確なコミュニケーションを促進する
〔チームの自信感〕
・優れたチームは自分たちに自信を持っている
・自信感を高めるには、マネジメントはチームが小さな成功を達成するために支援すること、そして、技能研修を実施すること
〔コンフリクトの程度〕
・コンフリクトが存在することは必ずしも悪いことではない
・人間関係のコンフリクトは例外なくチームの機能を低下させる
・タスクの内容をめぐるメンバーの意見の相違(タスク・コンフリクト)は有益な事が多い
〔社会的手抜き〕
・個人の努力が識別されないため、集団の努力に個人がただ乗りする可能性がある
・成功するチームはメンバーに対し個人的にも集団としてもチームの目的、目標、手法に対する達成責任を課すことで社会的手抜きの傾向を克服する
各施設においては継続すべき施設内感染予防、望んでいない第2波への対応方針検討など、チームマネジメントに関わる機会は続きます。日本全体としては国民全員が新しい生活様式を実践する中で、社会的手抜きが生じないような工夫が必要かもしれませんね。
2020年6月3日
H.M
参考・引用文献
スティーブンP.ロビンス著 高木晴夫訳:組織行動のマネジメント.ダイヤモンド社.2009
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