コメディカル組織運営研究会
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最近、「ピッカピカの一年生」や「セブンイレブンいい気分」などよく耳にするキャッチフレーズがありますが、その発案者である杉山恒太朗氏の講演会に参加しました。
医療社会人としては分野が異なるため、一般企業はどのように経営や組織の運営を考えているのかが疑問であり、また医療サービスとその他のサービスとの違いに違和感もありながら講演会を聞いていました。講演はブランドとデザインをテーマにした内容で、杉山氏は数々の時代にあったキャッチフレーズ、コマーシャルなど手掛けた経験から、企業における第5の経営資源としてブランドを重要視していました。
ブランドのイメージはファッションの高級品が思い浮かびますが、三省堂では「財・サービスを他の同カテゴリーから区別するための概念」とされ、杉山氏は「ブランドを作ることで、企業の言葉として社会的責任を果たす。」また「マーケティングは市場視点であり、ブランディングは自分(自社)視点である。」と話されていました。
デザインの視点から、皆さんが知っていると思われる経口補水液(OS-1)を普及させるため、「かくれ脱水委員会」(広告であるSTOP熱中症)など言葉(情報)をデザインすることで、熱中症とその予防を世の中にしらせる仕組みを作ったことや、客離れした地方の温泉街の価値をデザイン(一般的な温泉街の定義を再定義して浴衣で歩ける温泉街とした)し、活性化を果たせた経験談から「新しい価値を生み出すことも大事であるが、再定義こそ最良で最高のイノベーションである。」ことを話していました。
デザインという言葉は、三省堂によると「“計画を記号に表す”という意味のラテン語、具体的な問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。」とされています。杉山氏の講演から、ブランドとデザインを組み合わせて、自分(自社)視点から発生する言葉や社会的責任、組織を「作品」として考えてみることを学びました。
ブランドやデザインなどの言葉の定義を踏まえて、医療社会人として個人と組織を振り返り、個人や組織のブランドとは?組織をデザインしていくには?を考える機会を得ました。
医療においてブランドを考えたことはなかったのですが、講義を聞いている中で、質が重要であると思いました。僕は、専門職と医療人の両面から資質を高める必要があると思います。
医療の質とは、ドナベディアン(①構造、②過程、③アウトカム)が有名ですが、経済・経営学では、機能的と情緒的に考えられています。
機能的は医療の本質、情緒的は顧客満足のことです。
医療の本質がなければ満足はなく、満たされればある一定以上の満足はなく、情緒的な質は少しずつ満たされることで増加し本質の満足を補うこともできるようです。特に慢性疾患の高齢者の医療を考えたときに治療の効果が得られにくい場合など情緒的な質をどのように高めていくか?また本質のアウトカムをどのように考えるか?が大事と思います。
部署の組織や医療機関として、さらに専門職の職能団体としてのブランドとは?何だろうか?どのように作れるのか?医療サービスの特徴を考慮して、ブランドを作るためには、個人の信念、組織の文化などはっきりとしない形と思います。
患者さんから医療者からも薦められる質の高い医療を提供するためのブランドとは?一度振り返り考えてみませんか?
今回、医療サービス以外の産業など課題や問題などの解決策から発展した事例を聞くことで、我々医療サービスに携わる本質を考える機会が得られると思います。
2018年12月8日
H.M
[参考・引用図書]
真野 俊樹:入門医療経済学「いのち」と効率の両立を求めて.中公新書 1851年
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