コメディカル組織運営研究会
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自身が勤める医療施設では、今年度 労働組合が「ハラスメントアンケート」を実施しました。当グループ・当施設のハラスメント対策について、「知らない」と答えた組合員は半数以上であり、相談するにも相談する所が分からないといった現状が見えてきました。また、どのようなハラスメントを「受けた」・「聞いた」・「見た」のかについては、“パワーハラスメント” が断トツに多く、ハラスメントをした者は ”上司” や “先輩職員”、ハラスメントをされた者の対応は、”同僚に相談した”、”何もしなかった” と答えた割合が多いという結果でした。当リハ部門では、今年度ハラスメントと疑わしい問題が起こったこともあり、アンケート結果も踏まえて、今回はハラスメント対策について考える機会としました。
参考図書として、『現場で役立つ!ハラスメントを許さない現場力と組織力』(鈴木瑞穂 著)を選びました。本書は、まず職場のハラスメント問題に適切に対応するためには、現場力を向上させ、組織力を構築していくことが必要になるとあります。
・現場力とは、スタッフ層がハラスメント問題について正しい認識と心構えを持つこと。つまり、管理職層の指示や指導を受ける中堅・若手社員が自分の不平不満を安易にハラスメントという言葉に置き換えないような心構えを身につけること(=誤った自己解釈の払拭)。
・組織力とは、ハラスメント問題に取り組むために社内環境の醸成と企業の基本方針の確立と制度を整えること。現場力の限界を把握し、向上させるために必要な施策を実施していくこと。
ハラスメント問題に対する現場力の向上には、
①ハラスメント問題の本質を把握すること。
②ハラスメントの定義の正確な理解をすること。
③ハラスメント問題のブラックゾーンの予防法と対処法を認識すること(ブラックゾーンとは、100人いたら100人とも「その言動はハラスメントだ」と断定できる状況)。
④ハラスメント問題のグレーゾーンの予防法と対処法を認識すること(グレーゾーンとは、問題とされている言動が客観的にみるとハラスメントと断定できない、当たり前の言動に見えるが相手がなんらかの理由に基づき、ハラスメントだと反応する状況)。
とあります。ブラックゾーンの予防法は、「感情のコントロールと自戒心を持つこと」、対処法は、「客観的レベルで、仕事をしていく上で、あってはならない言動だと断定するレベルに達しているか否か」という観点で考える必要があると書かれています。またグレーゾーンの予防法は、「ハラスメントと思われない自分なりの接し方を身につけないといけないことを自覚すること」とあり、対処法は、「業務の適正な範囲を逸脱しているか否かを判断し、ハラスメントかどうかを認定すること」と書かれています。間違った対応として、「大声、怒鳴り声で注意するとパワハラになる」「○○を言えばセクハラになる」などのような、境界線やNGワード集を求めたくなることであり、当てはめ判断は無駄と割り切る必要があります。また、「相手がハラスメントだと思えば行為者の言動はハラスメントになる」という誤った常識感覚を払拭させる必要があります。
組織力の構築には、これらの現場力の限界を把握し、それを克服するための施策を考えることとあります。
自部署のハラスメント疑い問題では、自分の不平不満をハラスメントと置き換えたものに近いと感じたことから、ハラスメント問題について正しい認識と心構えを持つことができるように職場教育を次年度に向け検討していきたいと思います。また、アンケート結果から当グループ・当施設のハラスメント対策について周知されておらず、こちらについても啓蒙活動が必要かと考えています。最近は、”ペイシェントハラスメント” も大きく取り上げられることがあり、しばらくはハラスメント対策漬けになりそうです。
2025 年 2月 7 日
O.H
参考図書: 『現場で役立つ!ハラスメントを許さない現場力と組織力』 日本経済新聞出版
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