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no.127「報酬改定はつらいよ」

 2024年はトリプル改定の年です。トリプル改定とは、診療報酬と介護報酬、障害福祉サービス等報酬の3つが同時に見直される報酬改定であり、人によっては「惑星直列の年」なんて表現することもあるようです。正直、まだまだ経営者としては勉強不足で、この話題でコラムを書くことは避けたいなぁ、ChatGPTも更に進化したし、前回と同じ生成AIについてコラムを書くということで許してくれないかなぁ、と思っていました。ですが、これまで「社会保障費がヤバいぜ!」と言っていた身としては、報酬改定について何か書かないのは違うよなと思い、今の力量で書けることを書こうと思った次第でございます。稚拙な部分はどうかご容赦くださいませ。

 

 今回の改定率のおさらいとして、診療報酬では人件費部分を0.88%引き上げる一方で、薬価を1%引き下げることにより、全体として0.12%の減少。また、介護報酬は1.59%引き上げられることとなりましたが、介護職員の処遇改善分が0.98%で本体が0.61%のプラスに留まっています。

 

 ここで大手の賃上げ率を見てみましょう。2024年5月21日のNHKニュースでは、賃上げ率はなんと5.58%! 中小企業でも4.66%との賃上げ率とのことです。同じ日本の話とは思えないですね。「日経平均も史上最高値を更新して、失われた30年と呼ばれた低迷期がいよいよ終わりか」という言葉には、医療・介護業界は、正直実感の「じ」の字もないですね。

 

 「悪いニュースばかりじゃないか!良いニュースはないのか?」という貴方へ。悪いニュースはまだ続きます。なぜ改定率が悪いことが問題かというと、実質賃金が下がっているからですね。実質賃金とは「労働者が実際に受け取った給与である名目賃金から、消費者物価指数に基づく物価変動の影響を差し引いて算出した指数」とされており、労働者が給与で購入できる物品やサービスの量を示しています。昔は200円でハンバーガーが3つ買えた時代がありましたが、いまは1つしか買えません。2023年には実質賃金はインフレによって2.5%も減少し、中々に苦しい生活となっています。かくいう私も忙しさにかまけてコンビニで昼食を買うことがありますが、昼食代が700~800円というのがザラになってきているのを肌身で感じます(これはもう冷凍食品で安く済ますしかない!)。

 

 2021年度の介護経営概況調査では、介護サービスの平均収益率(収支差率)は2.8%というデータがあります。他の産業は業界によって差があるものの、2.8%というのはやはり低すぎます。少子高齢社会であって、膨張する医療費と介護給付費の問題から、産業として収益率をあげることはできないということは十分に理解できますが、これでは医療業界や介護業界を離れる人が増えても仕方ないよなぁと強く感じた改定でした。報酬改定はつらいよ。

 

 追伸:余談ですが、改定報酬などの混乱に乗じて(?)、既得権益が医療業界と介護業界の雀の涙のような利益をかすめ取っていく様を目の当たりにしました。癒着というのは世の中には見えないようにこっそりと行われると思っていたのですが、堂々と通常ではまかり通らないことが行われているとどっと疲れが増しますね。医療・介護ITベンダーと既得権益団体の結託については、めちゃめちゃ告発したい気持ちになったぜ!以上です。 

 

2024年5月22日 

R.T

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