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no.106「チーム医療に必要な「One for all , All for one」」

先日、とあるご縁により故・石川誠先生の1周忌追悼行事へ参列させていただきました。

石川誠先生は医療業界では言わずと知れた回復期リハビリテーション病棟の父であり、日本でのチーム医療・リハビリテーションマインドを発展させた第一人者でもあります。その石川先生が、生前好きな言葉として常々口にされていたのが「One for all , All for one」でした。

ラグビーでも有名な言葉ではありますが、石川先生が学生時代ラガーマンだったこともありチーム医療を語る上で引用されていたと、参加させていただいた講演会や飲み会の席で仰られていました。

ラグビーではチームプレイの精神を象徴する言葉ではありますが、なぜ石川先生はこの言葉を常々言われていたのか、近年の解釈を踏まえて私なりに紐解いてみました。

 

そもそもラグビーの合言葉として定着しているのは日本だけとの情報もありますが、元日本代表で日本代表監督になりました、故・平尾誠二さんが解釈した意味としては、「一人はみんなのために、みんなは一つの勝利のために」とのことでした。

また、近年のビジネス業界では「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」と解釈されることが多いそうです。

 

「One for all(一人はみんなのために)」を考えると、利他性を表していると解釈できます。医療業界に限らずですが、みんなのために利他的な行動をとれるスタッフほど患者(顧客)や同僚からの信頼が高く評価され、実際私も部下を評価する際の一つの指標として利他性や組織市民行動が行えることを用いさせていただいています。

 

「All for one」の解釈においては、平尾さんやビジネス業界を踏まえると、みんなは「一人のためへの行動」よりも「一つの目的や目標のための行動」の方が理解しやすいと考えました。「一つの目的や目標のための行動」となると、医療業界では「患者のための行動」と解釈してもよいのではと考えました。

私が所属している病院の回復期リハビリテーション病棟をレベルアップさせるために、埼玉県にある霞ヶ関南病院へ見学させていただいた際、ご対応いただいた総務課課長さんが「我々全職員は『その行動は患者さんのためなのか』を基準に考え行動します。どんなに労力を割いても患者さんのためであれば全職員が行動し、どんなに効率的になっても患者さんのためでなく職員のためだけの行動であったら上司が却下します。」と言われていました。全職員の行動のベクトルが患者に向かっていることにとても感銘を受けたのを覚えています。また、全職員が「患者のための行動」を実践するためのマインドや風土を持つことが良い病院の条件の一つと学ぶことが出来ました。

 

それらを踏まえ、「One for all , All for one」を私は「一人はみんなのために利他的な行動をしよう。みんなで患者のために行動し、同じマインドを共有しよう。」と解釈しました。

 

石川先生は監修された「輝生会がおくる!リハビリテーションチーム研修テキスト―チームアプローチの神髄を理解する―」において、

「教育研修は輝生会の核であります。最近の若者はマインド形成されていないことが多く、「自分だけが豊かになりたい」と利己主義みたいなっている。そのマインドをどうやって早く白紙に戻して「(障害を持っている人も高齢者も認知症の人も)みんな一緒に豊かに!」をいうマインドに変えるのは教育研修以外にどうやりようもない。知識技術だけじゃなくてマインドがないとリハビリテーションにならないんです。」と語られています。

 

「One for all , All for one」の精神と「リハビリテーションマインド」を常に持って今後も日々の業務にあたりなさい、と石川先生に言われた気になり、今後もそれを私なりに体現できればと思う所存であります。

 

2022.8.1 T.T

 

[参考図書] 

輝生会がおくる!リハビリテーションチーム研修テキスト―チームアプローチの神髄を理解する― 監修:石川誠 水間正澄 出版:全日本病院出版会

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