コメディカル組織運営研究会
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オミクロン株が猛威を振るう中、職員が新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者となり入院や自宅待機などを余儀なくされた場合、組織の事業継続に支障を及ぼしかねません。
今回、事業継続に必要なリスク管理の1つであるBCPについてまとめました。
1.What:BCPとは
緊急事態が発生した際、被害を最小限に抑え、一早く業務が再開できるよう対策や方法をまとめた計画のことです。緊急事態には、地震や台風といった自然災害のほか、新型インフルエンザや新型コロナなどの蔓延、火災、停電など、様々なものが対象範囲に含まれます。
2.Why:BCP策定のメリット
1)緊急時に迅速な対応ができる
事前に緊急時の対応を把握しておけば、もし誰が管理統率する状況下においても、職員が迷ったり、間違った行動を取ることを防げます。
2)業務の棚卸しができる
BCPを策定する過程で、所属する部署ではどのような業務があるか、優先順位はどのようにすべきかなど、改めて可視化することができます。今まで気付かなかった業務のメリット・デメリットの再確認ができ、業務効率化、質向上につながることが考えられます。
3)信頼・信用を高める
緊急事態が発生すると、業務に損害が出たり、診療が一時中断する等マイナスイメージを残してしまうことが考えられます。その中で、復旧スピードが早く、事業継続できる組織は、患者さんや職員、地域住民のみなさまへの信頼・信用を高めることにつながります。
3.How:BCP策定手順
今回、コロナ禍におけるBCP策定に特に必要と思われる3つをあげました。
1)方針をたてる
BCPを策定することで何を目指すのか、しっかりと方針をたて、想定されるリスクをリストアップした上で、発生時の組織への影響度などを考え、対象とするリスクを絞り込むことが必要です。
2)BCP発動基準や体制を整備する
BCPを策定するために、BCPの「発動基準」と「発動時の体制・要員」を明確にする必要があります。緊急時は冷静な判断が困難であるため、誰が指示を受け、実際にどのような行動をするか、細かい部分まで具体的に決めると混乱が防ぐことができると考えます。
3)部署内でのインプット、アウトプット
形式化し、誰が見てもわかる状態にします。緊急事態発生時に職員がBCPをすぐに活用出来るようにするために、定期的にBCPに関するディスカッションや勉強会を行い、有事への心構えを準備することが必要です。また、組織の方針に変更があった場合や、国や業界のガイドラインが改定された場合、随時更新し職員に伝達することも必要です。
まとめ
BCPは「有事に平時の対応が出来る」よう準備するもの(一時的なもの)ではなく、「有事が平時となっている認識を持ち心構えておくもの」であると思いました。近年はVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)からVUCA(ブーカ)の時代とも言われています。先を見据えた適切な事業計画によって、組織が安定した事業を提供し続けることができるよう、また、職員が安心安全に職務遂行できる環境が整備できるよう取り組んでいきたいと思います。
2022年3月3日
N.K
<参考・引用文献>
・事業継続ガイドライン第三版 -あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応- 解説書 内閣府(防災担当) 平成26年7月
・介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン 厚生労働省老健局 令和2年12月
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